ネット越しにボールを打ち合うチームスポーツであるバレーボール。1チーム6人でプレーする物という認識をしている人が多いかもしれませんが、実は「9人制バレーボール」というものも存在するのですね。日本では寧ろ、9人制の方が主流だった時代もあるようです。
今回はバレーボールの6人制と9人制の違いについて紹介します。
9人制バレーボールとは
そもそも9人制バレーボールとはどういったものなのでしょうか。9人制バレーボールは、文字通りコート上に1チーム9人のプレイヤーが同時に出て行うバレーボールです。
バレーボールがスポーツとして成立していった当初は16人制で行われていたらしく、その後極東では9人制へと変遷。第1回全日本排球選手権が行われた際にも、ルールは9人制であり、1964年の東京五輪の招致決定に際して、欧州で主流となっていた6人制へと切り替わっていったのですね。2015年に9人制バレーの日本プロリーグ「V9チャンプリーグ」が始まるなど、現在も9人制バレーはプレーされています。
6人制と9人制の違いは?
ここからはバレーボールの6人制と9人制の違いについて紹介します。
コートの広さ
6人制バレーボールのコートの広さは長辺18m×短辺9mです。これに比べて、9人制バレーボールのコートの広さは長辺21m×短辺10.5mと規定されています。人数が3人も多い分、広くなるのは当然と言えば当然。寧ろ「それだけしか広くならないんだ⋯⋯」と感じる人もいるかもしれませんね。なお、この広さは男子の一般、及び高校生のゲームでの規定。男子中学生の試合では長辺20m×短辺10m、女子9人制バレーであればコートの広さは6人制の18m×9mと同じです。
ネットの高さ
バレーボール ネットの高さも6人制と9人制では異なります。男子6人制バレーの一般、及び高校生でのネットの高さは2.43mなのに対し、男子9人制バレーのネットの高さは一般だと2.38m、高校生だと2.25m。なんと9人制バレーの方がネットは低く規定されているのです。勿論他のレギュレーションでもこの傾向は共通であり、男子中学生だと6人制なら2.30mなのに対し、9人制なら2.15m。一般女子、女子高校生だと6人制なら2.24mなのに対し9人制だと一般2.15m、高校生2.05m。女子中学生は6人制2.15mなのに対し9人制2.00mとなります。
ライン
6人制バレーボールではセンターラインとアタックラインが引かれているのですが、9人制バレーボールではこれらのラインはありません。これらのラインが無いということは、つまり9人制バレーボールでは細かなルールも違ってくるということなんです。
6人制ではコートの中央に引かれているセンターラインを足が越えてしまうとファールなのですが、9人制では相手競技者へのインターフェア(ネット下からの妨害)がなければ相手コートへ入ってしまってもいいのです。また、9人制バレーボールでは中、後衛の選手がアタックやブロックに参加するのもOKなんですよ。
選手交代
バレーボールの選手交代の規則についても、6人制と9人制で細かい違いがあります。6人制バレーボールでは先発選手は1セットにつき1度だけ交代でコートに離れることができ、交代選手(控え選手)は1セットにつき1度だけ、先発選手と交代で試合に入れます。先発選手が再び試合に戻る場合、自身と入れ替わった交代選手とのみ再交代することができます。セット内の選手交代は6回までです。
9人制バレーボールの場合、先発選手が交代で退いた後、再び戻る際の交代相手はその選手が退く時に入れ替わった選手でなくてもOKです。なお、交代選手が1度ベンチに退くとそのセットは再び戻ることは出来ない、という点は共通ですよ。セット内の選手交代は4回までです。
ポジション関連
バレーボールにおける守備専門の選手のポジション、リベロ。リベロに設定された選手は、プレーに一定の制限を受ける代わりに交代制限の回数に影響されることなく入れ替えを行うことが出来るのですが、6人制のバレーボールにはあるこのリベロというポジションが、9人制バレーボールではありません。
また、6人制バレーボールではポジションのローテーションを行いますが、9人制ではローテーションもポジショナルフォールトもありません。交代可能回数が少ないのは、このルールも影響しているでしょう。
ボールへの接触回数
バレーボールは、「レシーブ→トス→アタック」といった要領で、3回以内の接触でボールを相手コートに返すスポーツです。これはバレーボールの大原則のようなものですから、6人制でも9人制でもこの部分に変わりはありません。
しかし両ルールで大きく異なるのが、「ブロックを接触回数に含むか否か」ということ。6人制では、ブロックで相手に返せなかった場合、ブロックで触れていてもその後3回の接触で返せばいいですが、9人制ではブロックの接触も1回に含むのです。9人と人数が多い故のルールと言えるでしょうか。
9人制では「リバウンド」OK?
一方で、9人制バレーボールでは「3回で返さないといけない」という原則をひっくり返してしまうようなルールも。9人制バレーボールでは、例えばレシーブした球がネットに当たった場合、そのレシーブしたプレイヤーが再びその球をレシーブ、トスするという行為は認められているのです。「レシーブ→ネット→レシーブ→トス→アタック」といった流れで相手に返すことができ、実質4回の接触が可能なのですね。
オーバーネットやダブルファウル
相手コート上にあるボールに触れてしまうとオーバーネットの反則なのですが、主にブロックの際のオーバーネットの規定は6人制よりも9人制の方が厳しいです。6人制ではブロックの際に相手のコートに手が入ってしまってもよいのですが、9人制ではボールの一部がネット白帯の仮想上部に達していない状態でのブロックは、相手のコートに入ってしまってはいけないのです。
また、ネット上で両チームでボールの押し合いとなった場合、6人制の現在のルールではそのままラリーが継続しますが、9人制では「ダブルファウル」でノーカウントになってしまいますよ。
最後に
今回はバレーボールの6人制と9人制の違いについて紹介しました。人数が多く、カバーできる範囲も広い9人制バレーボール。それだけに6人制とは細かなルールの違いがあるのですね。一人が失敗してもカバーできる人員が多いということでもありますから、バレーボール未経験の方は9人制バレーボールを始めてみるのも良いかもしれませんね。
